私だけの王子様~真夏の社員旅行~
「メールで送ってくれればいいのに…」
龍平はふくれっ面でそう言って、
生意気にもブラックコーヒーを飲んだ。
案外簡単に幹事の仕事も終わったと、
一安心していると、部長が私の肩を叩いた。
「小谷、柳本しっかり頼むぞ。宴会の飲み物は焼酎でよろしく。お前らの最初の社内旅行なんだからしっかり盛り上げてくれよ。」
プレッシャーをかけられて、ますます気が重くなる私とは逆に龍平は嬉しそうに大きな声で答える。
「はい!期待してください。頑張ります。」
ノートパソコンで隠れた龍平の顔を覗くと、真剣な表情の龍平と目が合った。
「お前も、もっとやる気見せろよ!ば~か!」
「やる気ないもん。」
毎日そんな会話を繰り返しながら、お盆休みが近付いてくる。
お盆休みもこれと言って予定はなく、あるのは合コンと社内旅行だけ。