私だけの王子様~真夏の社員旅行~
「やっぱりね。彩は、そういうフリフリした感じのかわいいのを選ぶよね。」
選んで、と言ったものの私のキャラじゃない。
「私も恵美のおすすめの真っ赤なブラで成功したから、恵美もこれにしなよ!」
なぜか、そのセリフに納得して、私は初めて花柄の下着を買った。
買ってから気付いたけど、この旅行に私のお目当ての人はいないんだ。
恋に落ちそうな候補もいなくて、どうして気合入れてるんだろう…
下着売場は、女の子のテンションを上げてくれる。
そこにいるだけでウキウキしちゃうような不思議な空間だった。
私と彩は、店の中をブラブラしながら、恋について語った。
この場所でなきゃ、私は話せなかったと思う。
ここだからこそ、素直に裸の自分を親友に見せることができた。