私だけの王子様~真夏の社員旅行~
ついさっきまで大嫌いだった龍平が、急にかっこよく見えてしまった。
どうして怒らないんだろう。
いつもはどうでもいいことで私に怒るくせに…
仕事中にあくびしたり、ネットで遊んでたりすると、あいつはいつも怒っていた。
それなのに、こんな大事件を起こした私を全く責めない。
「あの・・・柳本さん、すみません。」
怒った顔が見たくて、ふざけて話しかけた。
「気持ち悪いな。柳本さんなんて今初めて呼んだだろ!邪魔だから早く帰れ!どうせ、今日も合コンなんだろ?」
龍平は、パソコンの画面を見たまま私を追い払う。
龍平は、私の服装と髪型で、その夜の予定がわかる奴。
その通り、今日も合コン。
「ごめんなさい。私がちゃんと調べておかなかったから。それと、さっきはかばってくれてありがとう。」
龍平に対して、初めて素直に謝ることができた。
それなのに、龍平ったら…
「お前の口から、ごめんとありがとうが同時に出たなんて明日は絶対空から1万円札が降るな!!」
「ばか!!人が素直に謝ったのに…」
龍平が笑顔でこっちを見るから、また憎まれ口を叩いてしまう。