私だけの王子様~真夏の社員旅行~



何?

何この気持ち。



相手は、あの龍平だよ?


何ドキドキしてんのよ、私!




「いいって。お前、もう帰れ。俺は別にお前をかばったわけじゃないから。気にすんなって!」



時計はもう6時を回り、ほとんどの男性社員は飲みに出かけていた。



「私のせいだから、手伝うよ。」



龍平の隣の椅子に腰掛けて、腕まくりをした。



「お前にとって、合コンがどれほど大事か俺は知ってるから…今日は俺に甘えて、行ってこい!また連絡するから。」


どうしてこんなに素敵に見えるの?


左手にアイスコーヒーを持ちながら、

右手でマウスを触る龍平に見とれてしまう自分に驚いた。




「ありがとう。じゃあ、甘える。どうだったかメールして。ペンション見つからなかったら、明日私も探すから言ってね。」



龍平のくせに、『任せとけ!』なんて言うんだ。


初めて見る龍平の頼りになる一面に、私は合コンどころじゃなくなっていた。



合コンなんてやめて、龍平と会社に残れば良かったと心から後悔するようなイケてないコンパだった。



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