私だけの王子様~真夏の社員旅行~
「うい~っす!」
バスの前でバスの席順を書いた紙を配る龍平。
いつの間にこんなものまで作ったんだろう。
「おい、お前も手伝って!」
渡された紙を見る。
「ちょっと!!!あんたばっかじゃない!?なんであんたと隣同士なの!?」
私は龍平の帽子を奪う。
黄緑色のかっこいいキャップなんて被っちゃって…
薄いピンクのTシャツにGパン。
やば!!
私の王子様、かっこいい!!
「幹事だから、不自然じゃないだろ?恵美!」
奪った帽子を取り上げる龍平が…『恵美』って!!
呼び捨てにした!!
もしかして、龍平ってば、女に慣れてんの?
「小谷でいいよ!!ばっかじゃない!」
「お前、入社してからずっと俺のこと名前で呼んでるじゃん!」
言われて初めて気が付いた。
私は、男の子を下の名前で呼ぶなんて今までなかったんだ。
それなのに、龍平のことはなぜか会ってすぐから『龍平』って呼んでたんだ。