私だけの王子様~真夏の社員旅行~
「おい!お前そんなに食うから背が伸びるんだよ!」
親子丼を頬張る私の背後から聞こえた声。
またあいつだ。
「うるさいよ!龍平!あんたは、そうめんなんか食べてるからチビなんだよ!」
同期の柳本龍平。
私の好みから一番遠くにいる男。
私より少し小さい身長。
かわいい顔をしているけど、仕事もイマイチだし、
さりげない優しさなんて絶対無理な奴。
何かにつけて私にイヤミを言う龍平と、
それに反論する私は営業部でも有名な犬猿の仲だった。
「おう!柳本!また恵美ちゃんと喧嘩してんのか?」
龍平の肩を叩いたのは…
全身からイケメンオーラの出ている相川君だった。
親友の彼氏ってことで、
私は相川君から『恵美ちゃん』なんて呼んでもらえる立場なんだ。