私だけの王子様~真夏の社員旅行~
「相川先輩… 小谷、生意気なんすよ!!」
龍平が私を指差し、相川君は爽やかに笑う。
いつも龍平の金魚のフンのようにくっついている総務の高橋君も、
なだめるように龍平の背中を叩く。
高橋君は、相川君のお気に入りの後輩で、
どことなく相川君のオーラを引き継ぐような香りのする男の子だった。
同期だけど、浪人していたこともあって龍平より1つ年上だった。
短大卒の私とは3つ離れているせいか、大人っぽく見える。
「高橋君でいいじゃん!」
耳元で彩が小声で言う。
確かに、今会社の中で一番可能性があるのは、
高橋君かも知れない。
高橋駿佑、身長は明らかに私より高い。
営業部より給料が良いと噂されている総務部の期待の新人。