月のうさぎ~寒がりな天使~



幸せな龍平は、焼酎をロックで3杯飲んで、いい気分になり、俺にもたれかかる。



今夜は飲みたい気分だ。


「日本酒熱燗で…」


店員に注文すると同時に、龍平の携帯電話が鳴った。



「もしもし~!」



龍平の甘い声を聞けば誰からかわかる。



ラブラブな彼女からの電話に、龍平の酔いも回る。



「今、駿佑と飲んでるんだ~!」



俺の肩に回した手がどんどん重くなる。



俺は携帯電話を横取りして、小谷恵美に言う。



「龍平、迎えに来てやってくれない?もしくはそのまま小谷さんの家に連れて帰ってやって!」



俺のお節介心に火がついた。


龍平がこぼした小さな悩み…


『まだエッチしてないんだよ…』って。



夏休みの営業部の旅行で、キスだけはしたらしいが、いつも友達っぽい2人だからなかなかいい雰囲気にならないらしい。



酒の力を借りるってのも情けないが、今夜は…


チャンスだ!!





< 10 / 46 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop