月のうさぎ~寒がりな天使~


9月にもなると夜は肌寒い。


俺は、手に持っていたスーツの上着を羽織り、自動販売機で温かいコーヒーを買った。



ジャングルジムが懐かしくて、俺は大通りから見えた公園へ向かう。



運動神経の良かった俺は誰よりも早くジャングルジムのてっぺんに登ることが出来た。


でも、人生のてっぺんにはなかなか行けない。



恋愛も、仕事も、何もかも中途半端で満足できない。





「・・・くちゅん!!」




俺が缶コーヒーの一口めを口に入れた瞬間、どこからか変な音が聞こえた。



人間のくしゃみにしては、小さくてかわいすぎる。



犬か、たぬきか・・・


何気なく振り向いた。




俺の目に映ったのは、犬でもたぬきでもなく・・・一人の小柄な女性。







< 12 / 46 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop