月のうさぎ~寒がりな天使~
第2章 偶然の出会い
「あの!!!」
俺の声にびっくりしたその女の子が、すごい勢いで振り向いた。
目が合った。
運命なんて信じないタイプだったけど、今、俺は運命を信じてみたいと思った。
こんな場所で、こんな時間に、偶然に会ってしまった俺達って、運命だと思わない?
「あ!!!!」
幸せなことに彼女は俺が自己紹介することなく、俺を思い出してくれた。
「こんばんは。いつも5時にお世話になってます、高橋です。」
「あ・・・どうも。沢野です!!」
ぎこちない挨拶をした俺達は、向かい合いながら何度も頭を下げた。
俺は沢野さんの初めての私服姿にドキドキが止まらなかった。
俺が思っていた通りのオシャレさんだった。
大きな鞄の中身はきっと、灰色の制服だろう。