月のうさぎ~寒がりな天使~
「バイト掛け持ちしてるの?体、大丈夫?あのバイト朝早いのに、こんな遅くまで他にも働いてるなんて・・・働き過ぎじゃない?」
またまた説教口調の俺に、沢野さんは笑う。
「高橋さんって何歳ですか?私のお父さんと言うことが同じなんだけど!!」
笑いながら、沢野さんが俺の左腕を叩いた。
心臓が・・・
今、高鳴りまくりなんですけど。
「俺、まだ若いって!!」
調子に乗った俺は、沢野さんの肩に自分の肩を押し付けてみた。
酒の力だと思う。
普段の俺はこんな勇気ないから。
それから俺と沢野さんは1時間くらい話していた。
ここから10分くらいのマンションに一人で暮らしているらしい。
改めて自己紹介をして、俺は彼女の名前を知った。
『沢野有希子』 22歳で俺より少し若い。
彼氏がいるかどうかはわからないが、右手の薬指に指輪をしていた。