月のうさぎ~寒がりな天使~
「くちゅん!」
何度もくしゃみをした沢野さん。
俺はそのかわいいくしゃみがたまらなく好きだと思った。
くしゃみが出るってわかってるのに紅茶を飲もうとして、こぼしそうになる沢野さんはかなりの天然系。
俺が勇気を出して、「駿佑って呼んでよ!」と言ったら、彼女も「じゃあ、有希子でいいよ!」とトントン拍子に俺達の距離は縮まった。
でも、連絡先も何も聞けないまま、有希子のマンションの下で別れた。
俺はスキップして帰りたい気分だった。
こんな気持ちは初めてかも知れない。
好きな女の子とこんな風に少しずつ近付いていく気持ち・・・
恥ずかしいような嬉しいような、不思議な気持ちで、今なら俺は何でもできる気がした。