月のうさぎ~寒がりな天使~
そして、今日も5時になった。
ドキドキ
ドキドキ
半端じゃないくらいのドキドキが襲ってきた。
「お疲れさまです!」
俺のドキドキを返してくれ。
俺が差し出した荷物を受け取ったのは、有希子ではなく…
別のバイトの男性だった。
俺は心配になった。
担当が変わったのだろうか。
風邪でも引いたのだろうか。
やっぱりメールアドレスを聞いておくべきだった。
俺は重力のままに頭を机に置いた。
「どうした?高橋。失恋?」
声をかけてきたのは、俺の憧れの先輩、相川さんだった。
この人に憧れて、俺もお洒落なスーツを着たいと思うようになったんだ。