月のうさぎ~寒がりな天使~
第3章 抑え切れない好き
オートロックのマンション。
入口には観葉植物がたくさん並んでいた。
俺は、ここで諦めるしかないのか。
彼女の部屋がどこかわかるわけもなく、ただマンションの入口で立っていた。
その時、有希子が現れた。
こんなにも偶然が続くと、俺はますます運命を感じてしまうじゃないか。
「あ、駿佑君、どうしたの?」
有希子の手にはコンビニの袋。
服装は、上下ピンクのジャージ。
「くちゅん・・・!」
また俺の好きなくしゃみをした。
「どうしたの?風邪?」
俺が何気なく彼女の手の袋を持とうとすると、中には風邪薬と牛乳とおにぎりが入っていた。
「風邪引いてるのか?だから仕事休んでるの?大丈夫?」
俺は、先日の公園でのことを思い出した。
何度もくしゃみをしていたのは、風邪の前兆だったのか。