月のうさぎ~寒がりな天使~
好きだよ、有希子。
この気持ちを伝えるために、俺のありったけの愛を込めて微笑んだ。
「・・・やられた。」
ボソっと呟いた有希子が、ため息をついた。
1階に到着し、乗っていた人が降りた。
俺は降りようとする有希子の手を掴んで、18階のボタンを押した。
「ちょっと!!何やってんのよ!仕事中なのに!」
俺の右わき腹を思いっきり殴った有希子。
この段ボールがなかったら俺は、抱きしめてしまっていただろう。
「駿佑、好きだよ。」
殴ったわき腹を撫でながら、有希子が小さな声で言った。