月のうさぎ~寒がりな天使~
「エレベーターに乗ったから好きになった?」
「ばか・・・」
段ボールから右手だけ離し、俺は有希子の手を握った。
ひんやりした冷たい手。
「有希子、制服の中にもっといっぱい着込めよ。寒がりなんだからババシャツ着とけ!」
恥ずかしすぎて、俺はムードを壊してしまった。
「やだよ、ババシャツなんて!!寒くてもお洒落したいの!」
18階に到着し、有希子がまた1階のボタンを押した。
「風邪治ったら、また会える?」
「毎日会えるでしょ?」
冷たい口調も有希子らしくて好きだ。
「そうじゃなくて・・・仕事以外で、有希子とどっか行きたい。デートしたい。」
頷くと思ったら、有希子は首を横に振った。