月のうさぎ~寒がりな天使~
俺は学習能力がないのか。
またマンションの下で立っていた。
まだ部屋を知らない。
もうあんな偶然はありえない。
酒のせいだ。
俺はベランダに向かって叫んでいた。
「有希子―――――――!!!」
6階建てのマンション。
届くはずもない声。
・・・が、届いた。
なんと彼女は2階に住んでいた。
ベランダから顔を出した有希子が、俺に向かって怒鳴る。
「ちょっと!!何やってんの!!」
パジャマ姿の有希子に向かって俺は言った。