インナーラブ~恋の相手はイケメン上司~
どうしよう。
今日一日で、急激に部長に近付けた気がする。
お弁当のおかげかな。
赤外線通信の仕方がわからない部長は、私のアドレスを不器用な手付きで必死で入力していた。
「山口真奈美・・・よし!登録完了!」
私は、フルネームを漢字で覚えていてくれたことに感激していた。
「サイコーにうまかった!お礼に今度何かおごるから考えといて!」
ご飯を一粒残らず食べてくれた部長は、洗って返すからと言って、弁当箱を持ったまま立ち上がった。
そんな所も好きだと思った。
「お礼なんて、とんでもないです。・・・じゃあ、焼肉で!!」
「ははは!了解!また誘うわ!じゃあ、俺、先に戻ってるわ。不倫カップルみたいやんけ、俺ら!」
去っていく部長の背中をじっと見つめた。
数分後、『ごちそうさま』メールが届いた。
私は嬉し涙がこぼれた。