俺の隣 ~ルームウェアに込めた想い~
「はぁ・・・」
エレベーターの中でため息をつくと、誰かのため息とハモってしまった。
隣を見ると、あの有名な庶務部の河野瑛子が立っていた。
勝美大介の彼女、河野瑛子は、バレないように次のエレベーターに乗ったのだろうか。
「朝からため息ですか」
俺が声をかけると驚いたような顔をして、その後、突然笑い出した。
「あなたもため息ついたでしょ!私に話しかけてくれる人って珍しいですね」
初めて話した河野さんは、好感の持てる素敵な女性だった。
派手ではないが、とても魅力的で、癒し系だと思った。
この笑顔に勝美大介は癒されてるのか、なんて変なライバル心が芽生えたりもした。
「俺、30分前に彼女と別れたんです。ため息つきたくなるでしょ?」
「30分前ですか?それならまだ間に合うんじゃないですか?未練があるなら、やり直した方がいいですよ!」
河野さんは、真っ白なコートを着ていた。
天使のように見えた。
やり直す・・・か。