俺の隣 ~ルームウェアに込めた想い~
「俊也・・・ちょっといい?」
風呂上りの由香がベランダに来た。
「風邪引くぞ」
俺が止めても、由香はベランダに出た。
「俊也、このルームウェア覚えてる?」
由香は、笑顔で自分の着ているルームウェアの裾を両手で揺らした。
「あ・・・昔、俺があげたっけ?」
それは、付き合って1年目の記念日に俺が由香へプレゼントしたものだった。
暖かい素材で、インナーとボトムがセットになったお洒落なルームウェアだった。
当時読んでいた雑誌に、彼女にあげると喜ばれると書かれていたものだった。
確か・・・
あの時、プレゼントに手紙を添えた。
そこに書いたメッセージはもう忘れてしまったけれど。
「このルームウェアは置いてくね。捨ててくれていいよ」
由香はそう言って、部屋の中へ戻った。
由香が言ったセリフで、完全に俺達の別れが決定した。