俺の隣 ~ルームウェアに込めた想い~
11月なのに雪でも降りそうなほど寒い夜だった。
俺は胸の奥に痛みを感じた。
「ごめん。俺・・・帰る。羽鳥さんも気をつけて」
酔った自分の左頬を叩いてみた。
俺はさっきまで密着していた右半分の体だけが温まっていることに気付いた。
羽鳥さんの方に回していた手を離し、俺は彼女からも離れた。
「どうして・・・俊也さん。今晩、一緒にいて欲しい」
離れた俺の体に、抱きついた羽鳥さんは、上目遣いで俺を見た。
俺はもう一度自分の頬を叩く。
「ごめん。俺、好きな人がいるから」
今にも瞳からこぼれそうな涙を浮かべた羽鳥さんを、俺はタクシーに乗せた。