俺の隣 ~ルームウェアに込めた想い~


化粧も濃くて、いつも髪をきっちりと束ねていた。


コツコツと歩くヒールの音が、食堂の中では珍しい。


昼休みは、スリッパに履き替える女子社員が多い中、由香はいつもハイヒールを履いていた。



後から知ったんだが、由香は秘書課だった。

だから、いつも気が抜けないし、あんなに厳しい表情をしていたのだろう。



由香を何度か見かけて、気になっている頃だった。



俺は、仕事で社内の違う部署の女性と電話をしていた。

彼女とは、電話で数回話していたが、会ったことはなかった。


最初の挨拶ですっかり意気投合した俺と彼女は、電話をするたびに、ちょっとした雑談をして楽しんだ。



優しげな口調で、冗談が好きで、彼女にするならこういうタイプがいいなと思った。


まさか、気になる2人の女性が同一人物だとは思いも寄らなかった。





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