聖なる夜の奇跡~身分違いの恋~
私と大介の出会いは4年前。
庶務部という地味な部で、私は地味に働いていた。
火災の防犯ベルが誤作動して、その修理に立ち合っていた。
そこが、社長室の前だった。
滅多に行くことのない8階。
社長室の前には、綺麗な花が生けられていて、いつも見ている廊下とは明らかに違っていた。
私には関係のない場所だと感じた。
「ごくろうさん。大きい音だったね~びっくりしただろ?」
社長室から出てきたのが、勝美大介だった。
彼のことを知らない人はいない。
だって、とにかくかっこいいから。
スラッとした体格に、整った顔立ち。
そして、何より気さくだった。
噂通りの優しい話し方で、私に近付いた大介は、修理が終わるまでずっとそこに一緒にいてくれた。
「庶務部って大変だろ?みんながやりたくないような仕事を全部引き受けてくれて・・・」
派手な赤いネクタイに、グレーの光沢のあるスーツに、ベスト。
「は、はい。あ、いえ!!そんなことないです!!」
緊張している私に優しく微笑んだ大介が言った。
「今日の昼飯、一緒にどう?」
女に慣れている軽い人なんだって自分に言い聞かせ、決して変な勘違いをしないように努力した。