世界にイロを
カランカラン♪
ドアベルが鳴り、客が来たことを店員に伝える。
「いらっしゃいま…おぉ、つぼみたんじゃん」
「…その呼び方やめろ」
「いーじゃん!可愛くてさ!それよりさー今度の日曜空いてる?遊ぼうよー」
「……エメラルドグリーンの毛糸玉一つ」
「あいよ、ちょっと待ってね」
店員が店の奥に消える。
「タツミ、今のだぁれ?」
「俺の親戚だ。」
「僕気づいてもらえなかった…」
「…気にするな」
「つぼみたーんエメラルドグリーンってこれでいいんだよねー?」
「あぁ、それだ」
「その子のマフラーか?」
「あぁ。ミオン、挨拶」
「だ、だだ団員No.3ミオンです…」
「ミオンちゃんかー、よろしくなー!俺はつぼみたんの叔父で幸村 燐夜(ユキムラ リンヤ)っていうんだ!まだ23歳だよ。よろしくなー
そのオレンジの子も団員かい?」
「…おじさん、僕だよ」
「お?コウか?」
「うん」
「おー全然気づかんかったわ!やぁっと自分晒したか!意気地なしだなぁ今まで隠しとったとは」
「……ぅ、うるせ」
「つぼみたんを見習えよ」
「おいおっさん。その呼び方やめろ」
「えー可愛いのにー。それと、俺はおっさんじゃない!まだ23歳だよ?お兄さんだっての!」
「おっさん。商品」
「…はい、これ」
「ん。ありがとな」
商品が入った袋をもらいお金を渡す。
「つぼみたーんまた来てねー」
「2度と来たくないがまた来ると思う。
そん時は負けろよ」
「その時俺の機嫌が良かったらね」
カランカラン♪
入って来た時と同じようにベルが鳴る。
3人並んで歩き出す。夏とは言え、もう19時。
「ミオン、こんな時間だが親は心配しないのか?」
「…私、ママもパパも居ないから大丈夫」
「…そっか。ゴメンな」
「ううん!タツミたちは大丈夫なの?」
「俺は親が去年死んだんだ。それで先週くらいからハリーと一緒に住んでるんだ」
「1人暮らしかー。僕たちは2人暮らしだもんね。ご飯とかどうしてるの?」
「…カップ麺とか、冷凍とか、コンビニとか」
「…は?」
「ミオン、料理できない…?」
そうハリーが聞けばミオンは小さく頷く。
「……そんなのダメだ!栄養バランスが悪いぞ!おい、今日俺ん家泊まれ!いやもうミオンも一緒に住め!」
「そーだよ!そんな栄養バランス傾いちゃうよ!ミオンも一緒に住もうよ!」
「…住んでも、いいの?」
「「当たり前だろ/でしょ」」
2人声を揃えて言えばミオンは今までで1番の笑顔を見せた。
「ミオン、好きな食べ物とかあるか?」
「私…肉じゃがが好き!」
「あー僕も肉じゃが好きー」
「じゃぁ今日は肉じゃがだな。材料もあるし、帰るか」
「「うん!」」
3人暮らしの3人ぼっち。
「タツミー?早くー」
「…早く帰るか」
「お腹空いたねぇ」
また、色が増えた。