世界にイロを
「「「いただきます」」」
ミオンが肉じゃがを口に入れる。
俺とハリーはその様子を息を飲んで見つめる。
「み、ミオンどうだ…?」
ミオンは俯いて震えている。
ふ、震える程不味いのか…?
「み、ミオン?」
「〜〜〜っタツミぃ!美味しい!コンビニの肉じゃがよりも全然美味しいよぉ!」
「でしょ?でしょ⁉︎つぼみは凄い料理上手なんだよ‼︎カレーも辛過ぎないしお魚だって上手に裁くしアレンジ料理も美味しいんだよ!」
ハリーは机をバシバシと叩きながら力説する。
「ハリー。つぼみって呼ぶな机を叩くな!」
「あ、ゴメン。…しょれにひてもあいかわらゃじゅたつゅみはりょおりじょうじゅだねぇ(それにしても相変わらずタツミは料理上手だねぇ)。」
「…はぁ。ハリー、何度言えばわかるんだ!口に物を入れて喋るな!」
「んぐっ。ゴメンゴメン!早く料理の感想が言いたくって…」
「あー!それよくわかる!美味しいから早く感想が言いたくなるの」
「ほ、ほらミオンもそう言ってるよ⁉︎」
「それとこれとは話が別だ!行儀が悪い!」
「はーい…」
「そうだ、タツミ。来週のライブで私何したらいいかな?」
「ん、あぁ、そうだな。」
「ミオンもキーボード、一緒にしようよ。もう1人欲しいんだ」
「ならミオンもキーボードだな。ハリーに教えてもらえるしな」
「うん!頑張るね」
「タツミ。新曲にする?」
「そうだな。作詞はすぐできるからなぁ」
「曲なら早い時は1時間、遅くても2日でできるよ‼︎」
「じゃぁ次はハリーの歌を作るつもりだから「ん?なんで?Colorはオープニングでしょ?タツミからじゃない?」
「あ…そうか」
「うん!じゃぁ次の曲はタツミをイメージして創ろう」
「頼むな」
「あの歌って2人が作ったの…?」
「そうだけど…?」
「えぇぇぇぇ⁉︎⁉︎⁈凄いね‼︎‼︎2人とも…」
「作詞が俺で」
「作曲が僕なんだ」
「…私、何にもできないね」
「何言ってんの。ミオンもColorsの団員で、キーボード担当なんだよ!」
「何もしてないわけじゃない。ミオンは俺たちの側に居るのが仕事だ」
「…ヘヘヘ。なんか嬉しい」
「改めて。
ようこそ、Colorsへ‼︎‼︎」
「団員No.3、ミオン。胸張って言えよ。
ご飯食べ終わったらマフラー作るな」
そう言って頭を撫ぜるとミオンは嬉しそうに笑う。
「ごちそうさまぁ!」
「私もごちそうさまっ」
「お粗末様」
「美味しかったよタツミ」
「ありがとな」
「食器の片付けとミオンの部屋の準備は僕がするからタツミはマフラー作りな」
「お、俺がするよ」
ハリーは耳を貸せと合図する。
耳を貸すとハリーは小声で
「ミオンに少しでも早く喜んでほしいんだ」
と言う。それには俺も賛成だ。
「…わかった。じゃぁ、頼むな」
「任せてよ」
「任務開始だ」
「ok‼︎団長」
ハリーが台所へと消える。
ミオンはソファーに座ってぼーっとしている。
毛糸玉と編み棒を持ってミオンの隣に座る。
「テレビでも見るか」
「うんっ」
適当にチャンネルを回して面白そうな番組を発見。
ミオンもそれを見ている。
しばらくするとミオンが俺の持っている作りかけのマフラーを指差す。
「……タツミ、それなぁに?」
「ミオンのマフラーだ」
「私の⁉︎わぁ…嬉しい」
頬を赤く染めてニコニコと笑うミオンを見てるとこっちまで嬉しくなる。
「もうちょっとでできるからな」
「待ってるね!」
編み終わり、マフラーの端に団員の証のステッカーをつける。
マフラーの色は瞳の色、ステッカーの色は髪の色。
ミオンは淡い水色だ。
「ほら、完成だ」
ソファーに座ってるミオンの前に行き、そっと首に巻いてやる。
「ふぁ…」
マフラーを見て笑うミオン。
「世界に一つしかないマフラーだからな」
「うんっ!」
「ミオーン!あ、マフラー出来たんだ‼︎凄く似合ってるよ」
「ホントっ⁉︎やったぁ」
「ミオン、さらにプレゼントがあるよ!」
こっちこっち、と手招くハリーに不思議そうなミオン。
俺も後ろを着いていく。
「じゃっじゃーん!今日からココはミオンの部屋でーす♪」
「まだ何にもない部屋だがすぐにミオン好みの部屋になるさ」
「…嬉しいっ!ありがとう、タツミ、ハリー‼︎」
心底嬉しそうに笑うミオンを見て俺たちは顔を合わせる。
「任務完了だな」
「うんっ」
拳をコツンと合わせる。
次はどんな色が増えるのか楽しみだ