世界にイロを
アイラさんと別れ、俺たちはスーパーへ向かう。
「今日の夕飯、サワラと焼肉どっちがいい?」
「私サワラ‼︎」
「はいはい僕焼肉〜‼︎」
「見事に意見が分かれたな」
「…そーだなー。「シュウく…」俺は焼肉がいい」
「私もそっちがイイです!」
「ケイお姉ちゃ…」
「でもサワラも食べたいですねー」
「あーいいか「シュウくん‼︎ケイお姉ちゃん‼︎」
「なんだよ千奈‼︎」
「千奈サン大声出さないでください」
「タツミさんたち困ってるじゃない‼︎」
ビシッと俺たちの方を指差しチナ、と呼ばれた女の子は叫んだ。
3人とも異色だ。
チナと呼ばれる少女は紫の瞳にディープピンクの髪。胸元あたりまである髪は耳の下で緩く二つに結われている。
「なぁ、なんで俺の名前を?」
「ライブ見てたんです♪」
群青色の髪と瞳。ボブヘアーの髪はエアコンの風に乗ってふわふわと揺れている。左側の前髪は黄緑のピンで止めてある。
「かっこよかったよ」
紫に近い赤紫の瞳。白い髪の少年は何処となくチナに似ている。
「あ、初めまして。響 千奈(ヒビキ チナ)です」
「永久野 恵(トワノ ケイ)でっす☆2人のお姉ちゃんやってます♪」
「響 修也(ヒビキ シュウヤ)だ」
「あれ?シュウヤ君とチナちゃん苗字一緒だね」
ミオンが呟く。
「双子なんだ。ちなみに俺が双子の兄だ」
「ふーん」
「あのっ、私達3人もColorsに入れてもらえますか?」
嬉しさのあまり俺がポカーンとしているとハリーとミオンは急かす。
「ほらっ、タツミ。早く答え言わなきゃ」
「だーんちょ。早く」
「…俺たちが、断るわけないだろう」
3人は顔を見合わせ喜ぶ。俺たちも1人ずつ自己紹介をして。
「さぁ。3人とも家に来い。一緒に食うか」
「行ってもいいんですか?」
「敬語をやめるなら♪」
「うん、わかった!」
「ならばサワラ派手を上げろ」
「タツミ…それじゃ強盗の言い方だよ」
「お前の意見はスルーする」「ごめんなさい」
サワラに手を上げたのはミオンと千奈。
「すまんがサワラは明日だな」
「明日食べれるなら我慢する…」
肉とタレを買いスーパーを後にする。
「焼肉楽しみです‼︎」
「今度3人の服も買わなきゃだね〜」
「毛糸あるよな」
「群青色に群青色って目立たなくない?」
「………………大丈夫だ(タブン)」
「…」
「ケイお姉ちゃん、さっきハリーさんに敬語ダメって言われなかった?」
「あれは千奈サンに言ったんですよ⁈私に関係はないです‼︎」
「なぁ、団長」
「どうした?」
「俺と千奈、ドラムできるよ」
「シュウくん‼︎私はドラムだけじゃないよ?ギターもできるんだからっ‼︎」
「じゃぁ2人のパートは決まりだね♪」
「トワノちゃんのパートは?」
「私ベースもできるのでケイお姉ちゃんに教えれますよ!じゃなかった、教えれるよ‼︎」
「トワノちゃんのも決定‼︎」
「なぁ、シュウヤとチナはなんでケイのことをお姉ちゃんって呼ぶんだ?」
「あぁ…俺らさ、異色じゃん?親に5歳の時捨てられたんだよな」
「2人で街を歩き回ってたら6年前、ケイお姉ちゃんに拾われたの」
「トワ姉は俺たちの親代わりになってくれたんだ。けどお母さんっていう年でもないしさ」
「私現在17歳でぇす♪修也サンと千奈サンと会ったときは11歳でした☆」
「じゃあ2人とも今小5か?」
「うん。それでお母さんじゃないしじゃあお姉ちゃんだなってなって」
「ケイお姉ちゃんって呼んでるの!」
「俺はトワ姉」
「へぇー」
「ケイはなんでサン付けなんだ?それに1番年上なのに敬語だし」
「母の遺言でどんな人にも敬語を使いサンを付けろと言われまして。それがもう癖になってるんです」
「トワ…」
「はい、ミオンサン呼びましたか?」
「名前…3人のどうするのかなぁって」
「トワとヒビキとヒビキ?」
「トワは決定なんですね」
「ヒビヤ…ヒナ…?」
「ミオンは新しく入った団員の名前考える係ね‼︎ね、いいでしょタツミ」
「あぁ。いいと思う」
「俺ヒビヤ?」
「私、ヒナ?」
「私はトワです‼︎」
「だ、ダメ…かな」
「ダメじゃないよ‼︎ねぇヒビヤ?」
「あぁ。俺気に入ったし」
その言葉を聞いて嬉しそうに微笑むミオン。
「さぁ家に着いたぞ」
「ようこそ我が家へ‼︎」
わらわらと皆が入って行く。
「そう言えばハリー。曲は出来たのか?」
「うん、モチロンだよ‼︎タツミの分、僕の分、ミオンの分まで出来てるんだよ‼︎」
「作詞するからとっとと俺に聴かせろ」
「はーい」
「そーだ。おいミオン‼︎この前出した宿題。ちゃんとしたか⁈」
「したよー」
「ハリーは?」
「………………………………………………………そんなの、あったっけ…?」
「今俺は猛烈にお前を殴りたい」
「あ゛ーーあ゛ー‼︎‼︎‼︎ごめんなさいいいい‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎ヒビヤくん助けてぇ」
「ハリーてめぇ待てコラァ」
「…ハリーの自業自得でしょ?」
「いやぁ‼︎ヘルプ‼︎ヘルプユーミーィィィヒナちゃぁぁぁぁん‼︎」
「お姉ちゃん、行こう?」
「ハイ‼︎」
「見捨てないでぇトワちゃんヒナちゃぁん」
「つうぅーかまぁーえたっ☠」
「あぁぁ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎ギブ、ギブ、ぎ、ギブゥゥウ」
腕をねじあげる。
ハリーに顔を近づけ囁く。
「思い出したかなぁ?」
コクコクと頷くハリー。
「言ってみろ」
「作詞の時に…参考にするから今までのことを振り返って書っく…作文です…」
「今日中に書け」
「えぇ⁉︎今日中⁈無理無理無…理じゃないです今すぐに仕上げます」
「よろしい」
ハリーは2階の自室へとダッシュして行く。それと入れ替わりにリビングにミオンが入ってくる。
「タツミ、お米炊いてるよ‼︎」
「ミオン、炊飯器のスイッチ押したか?」
「…すいはんき?すいっち?」
「待てミオン。米は一体何で炊いてるんだ」
「石釜」
「家にそんなのあったか…?」
平然と答えるミオン。クラクラする頭を抑える。
「私がこっちに移る時に持って来たの‼︎」
「俺それでの炊き方知らねぇよ…何分かかるんだ?」
「大丈夫、私が知ってるよ‼︎50分くらいで炊けるよ」
「…頼むから火傷しないでくれよ…」
「私はそこまで子供じゃないもん」
プンプン、と怒りながらミオンはまた台所へ戻ってく。
…30分くらい休憩しよう。ソファに寝転び目を閉じた。