星に願いを
学校生活は思ってたより楽しく過ぎていったと思う。
体育祭も見学だけど参加出来たし、空良や咲希と過ごすことで俺も学校の一員だと感じることが出来た。
ただ、咲希やクラスの皆には俺の病気のことを告白する勇気はなかった。
「学校、楽しいか?」
「…うん。空良のおかげで楽しく過ごせてると思う」
週末に両親が俺の様子を見に空良の家へとやって来た。
「ちゃんとご飯は食べてるのか?」
「うん。空良のお母さんが別メニューで俺に作ってくれてる」
「そうか。またお礼を言わないといけないね」
父さん嬉しそうに微笑むと、俺の部屋を見渡した。
「…母さんは?」
「空良くんの両親に挨拶してるよ。太陽の様子でも聞いてるんじゃないかな?」
「ふーん…。父さん、あのさ…」
ん?と一冊本棚から小説を取り出しながら、父さんは畳に座る俺の方へと顔を向けた。
「…ありがと」
転校を許してくれて。
俺の我が儘を聞いてくれて。
こんな俺の心配をしてくれて。
ただ父さんは優しく微笑んだ。