星に願いを



「太陽もたまには帰ってきなさいよ」


「ごめん、ごめん」


新幹線乗り場まで両親を見送りながら、母さんは寂しそうな顔をした。



「こっちにいるの楽しくってさ。俺が今まで諦めてたこと叶えられそうなんだ」


だからー…



「母さん、年末には帰るよ」


もう少しここにいさせて?


もうすぐ死ぬ息子といたい母さんや父さんの気持ちも分かるけど…。


親不孝な僕を許してください。



「…っ、太陽」


何故だか涙が溢れそうになった。



「あはは~…ごめんね」


涙が流れそうになるのを堪え無理矢理笑顔を作る。


新幹線が着たアナウンスが流れるのに気付き、「じゃあね。また連絡する」と言って俺は二人を見送った。



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