星に願いを



「ちょっと君!体操服は?」


「忘れました」


見学のつもりだったから体操服なんて持って来てなかった俺は、制服の下に着てるTシャツになり制服のズボンを膝まで捲りあげた。



「立石!何してるんだ!」


スタートラインに立つ姿を見付けたのか、担任の先生が慌てた様に大きな声を出した。



「先生何慌ててるんですか?怪我した澤田の代わりに、立石が走ってくれるんですよ?」


ハハッと楽しそうに笑う男子達に先生は、「誰が立石に走れって言ったんだ!」と怒鳴った。


その先生の声と同時にパーンッ!とスタートの合図が響いた。




こんな全速力で走ったのっていつぶりだろうか。



「…はぁ、っ」


風を切って走る感覚がすごく気持ち良かった。




< 55 / 110 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop