星に願いを
「ちょっと君!体操服は?」
「忘れました」
見学のつもりだったから体操服なんて持って来てなかった俺は、制服の下に着てるTシャツになり制服のズボンを膝まで捲りあげた。
「立石!何してるんだ!」
スタートラインに立つ姿を見付けたのか、担任の先生が慌てた様に大きな声を出した。
「先生何慌ててるんですか?怪我した澤田の代わりに、立石が走ってくれるんですよ?」
ハハッと楽しそうに笑う男子達に先生は、「誰が立石に走れって言ったんだ!」と怒鳴った。
その先生の声と同時にパーンッ!とスタートの合図が響いた。
こんな全速力で走ったのっていつぶりだろうか。
「…はぁ、っ」
風を切って走る感覚がすごく気持ち良かった。