星に願いを
高校入学してから半年が経った。
季節は秋を迎え街は紅葉でキレイに彩られている。
「ハルくん、調子どう?」
「今日は調子いいかも。太陽は学校どう?楽しいか?」
「まぁまぁかな」
ハルくんは治療のため入院生活を送っていた。
抗がん剤治療でハルくんは痩せて髪の毛も抜けていて帽子を被っている。
それでもいつも笑顔で俺の心配をしてくれていた。
「知華ちゃんは仕事?」
「おー。知華は逞しいよ。仕事も家事も育児も一人でやってさ。その上、俺の世話までさせてさ。何やってんねんろうな…俺」
最近、ハルくんは知華ちゃんは逞しいとそう言う話ばかりするようになった。
何も出来ない自分が情けないとたまに呟くように言っていた。
「俺はハルくんもすごいと思うけどな」
「なんや?俺を慰めようってか?」
「違うよ。本当にそう思ってるって」
ハルくんは凄いと本当に思う。
病気に向き合って治そうとしている。
俺にはそんな勇気がない。
「なー太陽。今度は空良と一緒に来いよ」
「うん…。言われなくても空良連れてくるよ」
思えばこの頃からハルくんは少し気持ちが弱ってきていたんだと思う。
それなのに俺は気付かないでいたんだ。