星に願いを
空良も出来る限りハルくんに会いに来てくれていた。
他愛ない話で盛り上がっては知華ちゃんに呆れた顔をされ、多分笑おうと残りの時間を楽しもうと必死だったんだと思う。
「今度、退院することになってん」
秋が深まってきた頃、ハルくんは嬉しそうに笑っていた。
「えっ!?退院するの?」
「おう!海翔とどこ遊びに行こうかな」
楽しみやな~とワクワクしているハルくんに俺はどこか喜べなかった。
「太陽くん」
「あ、こんにちは。さっきハルくんから退院するって…」
帰ろうと病室を出た所で知華ちゃんに呼び止められた。
知華ちゃんの目は泣いて赤くなっていた。
「……知華ちゃん、ハルくんってさ…」
俺が何を言おうか分かってると、知華ちゃんは涙を流しながらコクリと頷いた。
「…ハルくんも分かってるんだよね?」
「うん…」
「そっか…、……海翔くん喜んでくれるといいね」
何て言葉をかけていいか分からなかった。
ハルくんがいなくなることが、いまいちピンと来なかった。
ハルくんはもう頑張れないんだろうか―…