星に願いを
「………っ、アキ!!」
胸元まで海に浸かりかけた時だった。
誰かの声が背後から響いたと思った次の瞬間、バシャバシャと海に勢いよく入ってくる音がした。
「太陽!!何してんだよ!?」
バッと腕を掴まれ足を止め振り返る。
「…………そ…ら?」
ボーッと空良を見つめると青ざめた表情だった。
「…な…んで」
「何でじゃないだろ!何やってんだよ」
「……ハルくんが…呼んでる…」
そう言って月を見上げ更に沖へ進もうとする。
「はっ!?」
「俺も、楽になりたい…っ」
「ふざけんな!何バカなこと言ってんだよ!?ハルくんが呼んでる?何意味わかんねぇこと言ってんだよ!」
空良は砂浜の方まで俺の腕を凄い力で引っ張ていく。
空良にこんなに力を感じたのは初めてだった。
「…っ、離せよ!もう放っとけよ…っ」
腕を掴んでいる空良の手を思いっきり振り払った。
「もう嫌なんだよ!どうせもう死ぬんだよ…っ」
涙が零れ顔を下に向ける。
海の中に消えていく涙と俺の声。