星に願いを



「じゃあそろそろお母さん帰るからね」


「はーい」


荷物を持ってきたお母さんは、消灯の時間に近づいてきたのか帰り支度を始めた。


いつもは一人残されるのが寂しくて、お母さんを引き留めることがあるが、今日はハルくんとの約束があるから早く帰ってほしくてうずうずしていた。



「どうしたの?今日は素直ね」


びっくりしたように見つめてくるお母さんに、「そうかな?」とぎこちない笑みを浮かべる。



「だって明日も来てくれるでしょ?」


「そうよ。毎日来るから寂しがらなくても大丈夫よ」


ニコッと優しく笑うとお母さんは僕を優しく包んでくれた。



「おやすみ。ちゃんと寝るのよ」


「うん!おやすみなさい」


バイバイとお母さんに手を振り、病室から出ていくのを見送る。



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