少女の2度目
第一章

彼待ち

夏休みが始まって一週間が経ちました。

少女は丑三つ時に愛犬二匹と
寄り添いながら携帯を弄り
横になっておりました。
こんな時間に彼からメールが
送られてくることはまず無いでしょうと
分かっていたのですが、
少女は只只ホーム画面と
メールの受信ボックスとを
行き来していました。

携帯は既に熱を帯びています。

行き来しているだけでは
充電の無駄遣いだと思い、
メールの受信ボックスから
ある一つのフォルダへ移動し、
そこにある全てのメールを
読み返すことにしました。

そこには幾つかの彼からのメールが
大切に保管されていました。
所詮はただのデータに
過ぎませんでしたが、
それでも、少女には
その一つ一つが大切であったのです。

そのデータたちが眠っている
場所の名は「Mr.Takeda」
―竹田は塾で少女の
   担当講師をしていました―。
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