少女の2度目
「ちぃーっす。」

階段を上り終えすぐ左手にある
ガラス張りのドアを開けて
まず目に入ったのは塾長
―早稲田大学出身の塾講師―
の姿だった。

『こんばんは。』

煙草を吸い終えた直後らしく
少々煙草くさかったため、
無表情な上、眉間に皺を寄せての
挨拶になってしまった。

「いやー、今日はいつにも増して
 クールだね。西内さん。はははっ!」

『いつもと何も変わりませんよ。
 川原先生、少し煙草控えた方が
 良いんじゃないですか?』

「いやー、煙草はやめられませんよ。」

『...そうですか。
 じゃあ、また後程。』

「じゃ。」

そうお互いに軽く挨拶をして
私は教室に入ろうと
ドアに手をかけた。

「あ、西内さん!言い忘れてた!
あなたにとってすっごく重要なこと!!」
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