現世に生きた恋物語~vinumの絆~
「お茶でいい?」
「あ、うん・・・ありがとう」
「そんな堅っ苦しい感じじゃなくていいよ~」
あの後、半強制的にこの子の家(と言っても洞窟っぽい場所の中に小屋っぽいものが建っているだけだったけど・・・)に連れてこられて何故かお茶をご馳走されている今この頃です・・・
「何かこの家に不満でも?」
「ブホァッ!!ゴホ・・・いや、そんなことは・・・」
何で?!
「クスクス・・・冗談で言ったつもりだったんだけど・・・。
その様子だと、ほんとに不満でもあるのかな?」(ニッコリ)
「な、ないって!」
「あははっ・・・まあ、そうは言っても仕方がないことなんだけどね
普段は豪勢なお屋敷に居るわけだしね
人間の家とは比べ物にならないさ」
「そ、そんなことは無いよ!
確かに少し作りが古い気がしないでもないけど・・ってあ!」
僕は慌てて口を塞ぐと少女はクスクスと笑う
「クスクス・・・あの子に似て単純だなぁ・・・単純で無垢で純粋で・・・・
本当に可愛い・・・」
少女は愛しい我が子を愛でるように僕の頭を撫でる
「・・・」
「・・・」
「あの・・・」
「ん?何?」
「君の名前・・・は?」
「あぁ、私の名前?
・・・____だよ」
いたずらに微笑むその顔を見たのを最後に僕の記憶は途切れた