正しい小鳥の愛し方【愛を知る小鳥 特別番外編】
「今日はここに泊まっていくから」

「・・・え?」

美羽は言われた意味がわからず食事の手を止めてポカンとしている。
俺は胸のポケットからカードを取り出すと、美羽の前まで差し出した。

「このホテルのスイートを取ってあるから。今日はゆっくりしよう」

「・・・・・・はい」

ようやく意味がわかったのか、彼女は頷くと一気に顔を赤く染めた。
・・・全く、夫婦になってからもう三ヶ月近く経つというのに、ホテルに泊まろうと言っただけで未だにこんなに赤くなるなんて。

初めて彼女と結ばれてからというもの、彼女の体調が悪い時以外はほとんど毎晩のように彼女を抱いている。我ながらがっつきすぎなんじゃないかと思うのだが、一度知ってしまった彼女の感触は手放せなくなってしまった。
いい加減免疫がついてもよさそうなものだが、彼女は以前と全く変わらない。ほんの少しのことですぐに赤くなったり青くなったり、ちっとも変わる気配がない。

そんな彼女がたまらなく愛おしい。
彼女のその姿には一切の計算がない。
だからこそ余計にからかいたくなるし、もっともっと欲しくなる。
彼女にももっと貪欲になって欲しいと思う一方で、そういう純粋なところはずっと変わらないで欲しいと思う俺はやっぱり欲深い人間だ。


食事を済ませると次はバーに彼女を連れて行き、そこで夜景を見ながらゆっくりとお酒を嗜んだ。
彼女はほとんどアルコールを口にしない。全く飲めないわけではないが、せいぜい一杯のカクテルを長い時間かけてちびちび飲むくらいのものだ。
今日もカルーアミルクなんていかにも彼女らしいカクテルを頼んで少しずつ口にしている。量としてはほとんど飲んでいないのに、既にほんのり頬が赤いのがまた可愛かったりする。
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