正しい小鳥の愛し方【愛を知る小鳥 特別番外編】
「ちょっ・・・、美羽っ!」

俺の動揺なんてお構いなしに、美羽はそのまま胸元に顔を寄せて口づけを繰り返す。
ただチュッチュと口先だけで触れるだけの行為だが、ぎこちないその動きに俺の全身ががゾクゾクと粟立っていく。起き上がればいとも簡単に止めることができるはずなのに、俺の体は魔法にかかってしまったようにピクリとも動かない。

やがて美羽は少しずつ顔をずらしていき、あばら付近を通過してお腹の辺りまでやってきた。チュッと触れたところが電気が走ったようにビクッと反応する。
心臓は自分のものとは思えないほど激しく脈打っている。



・・・いいのか?
このままでいいのか?
彼女は酔った勢いでやってるだけで素面ならこんなことは絶対にあり得ないぞ?
このまま流れに身を任せてしまっていいのか?
彼女が我に返ったときにショックを受けるんじゃないのか?


俺の頭の中で激しい葛藤が生まれる。
彼女を止めてあげるべきだという思いと、このまま流されてみたいという思い、
邪な考えは取り除いたはずなのにすっかり惑わされてる自分がいる。
全ては彼女の放つ妖艶なオーラが俺の思考を狂わせていく。


一生に一度しかないかもしれないこの状況に身を任せてみようか・・・?



俺がそんなことを一瞬考えた時だった。




「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん?」


気が付けばお腹の辺りに重みを感じた。
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