正しい小鳥の愛し方【愛を知る小鳥 特別番外編】

「じゃあ行ってくる。くれぐれも気をつけて行くように。何かあったらすぐに連絡すること。絶対だぞ」

翌日、出がけに次々と注文を出す俺に美羽はクスクスと笑いが止まらない。

「そんなに過保護にならなくても大丈夫ですよ。充分に気をつけて行ってきますから。お昼には一度メール入れますね。潤さんもお仕事頑張ってください」

「あぁ。・・・・・・じゃあな」

「いってらっしゃい」

満面の笑みを見せる美羽に見送られながら俺は部屋を後にした。
一瞬昨日のことを聞こうかとも思ったが、すんでのところで言葉を引っ込めた。
もう少し、もう少しだけ様子を見てみよう。ずっとこのままの状態が続くようであればその時は思い切って聞いてみればいい。
今日は金曜日だ。先週の分も週末は二人でゆっくり過ごそう。
俺はそんなことを考えていた。





「昨日美羽ちゃんはどうだった?」

「もう緊張しまくり。見てるこっちまでドキドキして駄目だわ。ああいうところが可愛いよなぁ」

「ふふ、そうね。ああいうことに関しては全然冷静になれないんだものね。わざわざ休みまで取ったんだから上手くいくといいんだけど」

「俺がバッチリ助言しておいたから大丈夫だと思うけど」


出社後、午後からの外出に備えた書類確認のために秘書課を訪れた際、まだ就業前の部屋の中から御堂と成田の話し声が聞こえてきた。
相変わらず何の話をしているのか全くわからない。
だが、やはり今日美羽が休みを取ったのには何か理由がありそうだということはわかった。そしてそれにこの二人も何かしらの形で関わっているということが。
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