正しい小鳥の愛し方【愛を知る小鳥 特別番外編】
地下駐車場に車を停めると、そのままセキュリティを解除して中へと入る。
はじめエントランスでインターホンを押そうかとも思ったが、今日は敢えて黙って帰り美羽を驚かせることにした。彼女がどんな反応をしてくれるのか、それが楽しみだから。
俺は浮き足立つ気持ちを抑えながら、足早に部屋を目指した。

エレベーターを降りて部屋の前までやって来る。鍵を解除すると、静かに扉を開けた。
そっと中に入ると奥の方から何かカチャカチャと音が聞こえてくる。どうやら美羽は俺が帰ってきたことに気付いてないようだ。靴を脱ぐと静かに廊下を進んでいった。

音はキッチンの方からしているようだった。夕食の準備でもしているんだろうか?
リビングのドアをゆっくりと開けると、キッチンの中でこちらに背中を向けてせっせと動き回っている美羽の姿が見えた。俺のために一生懸命作ってくれているんだろう、そう思うと愛しさが込み上げてきた。・・・それにしてもやけにたくさんの料理を作っているようだ。めったにない休みだから張り切ったんだろうか?
俺はしばらく彼女の後ろ姿を眺めていた。

真剣な彼女の姿を堪能すると、いつまでも気付きそうにない彼女にそろそろ声をかけることにした。
リビングの中に一歩足を踏み入れ名前を呼ぼうと息を吸い込んだ瞬間、これまでずっと背中を向けていた美羽が突然こちらに振り返った。

「・・・・っきゃあっ!!」

ガシャガシャーーーンッ!
いるとは思わなかった俺の姿に驚いた美羽は、手に持っていたボウルを床に落としてしまった。

「美羽っ!大丈夫か?!怪我は?火傷は?!」

俺は慌てて彼女の元へと駆け寄りその体を掴んであちこち覗き込む。



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