正しい小鳥の愛し方【愛を知る小鳥 特別番外編】
「身体は辛くないか?」

「全く問題ないですよ。むしろいつもよりも元気なくらいです!」

そう言ってガッツポーズを作ってみせる彼女のお腹は、最近少しずつ目立つようになってきた。あまり目立たないタイプのようで、1ヶ月ほど前までは服装によっては全く妊婦だと気付かれないことも多かった。
見た目でわかりにくいと、周囲が何も気付かずにぶつかったりするんじゃないかと気が気じゃなかったが、ここにきてようやくそれらしく見えてきてある意味一安心している。彼女にそんな事を言えばまた過保護ですよと笑われるんだろうが。

「私、旅行も温泉も初めてなんですよね~。なんだかドキドキします」

相変わらず車窓から見える景色に釘付けになりながらそんなことを口にする。

「それを言うなら俺もほとんどそうだぞ。まだ社会人になりたての頃に強制的に社員旅行に連れて行かれたくらいだな」

「えっ、そうなんですか?だって・・・」

そこまで言いかけて美羽は慌てて口を抑える。
・・・・何となく彼女が言いかけたことが読めてしまう。

「・・・言っとくけど、女となら一度たりとも行ったことないぞ。ずっと前に言っただろ?朝まで一緒にいた奴すら一人もいないって。もっと言えばデートをしたのもお前が初めてだよ」

「あ・・・そう、・・・でした。・・・・へへ、ごめんなさい。嬉しいです」

そう言ってふにゃっと照れくさそうに笑う彼女がいじらしい。
全く、これらを計算なしでやってのける彼女は絶対大物だ。運転中じゃなければとっくに抱きしめてキスしているところだ。・・・もしかして敢えて運転中を狙ってるのか?なんて考える俺も相当やられてるのは間違いなさそうだ。
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