正しい小鳥の愛し方【愛を知る小鳥 特別番外編】
「ほら、早く。いつまでそうしてるつもりだ?」
「・・・・う~・・・・、本当に本当に本当に駄目ですか?」
「だ~め。そのためにせっかく離れにしたんだから」
「うぅ・・・・潤さん、もしかしてこれが一番の楽しみだったりしませんか?」
「ははは、それはどうかな。ほら早くおいで」
情けない犬のような顔でこちらを恨めしそうに見ているが、そんなのお構いなしだ。
さっきから繰り返されているこの押し問答。
俺は今部屋付きの露天風呂に入って美羽が来るのを待っている。
渋々ながら時間をかけてようやくバスタオル一枚になったはいいものの、そこからの一歩がとてつもなく重い。戸口からちらちら顔を出してはさっきのような会話がもう5分ほど続いている。
「あまりその格好でいると体に障るぞ。俺が素っ裸で迎えに行ってもいいけどどうする?」
「だ、駄目ですっ!それは困りますっ!・・・・わかりました、行きます・・・」
顔を真っ赤にして必死で首を振ると、とうとう観念したのかすごすごと美羽が外に出てきた。かけ湯をすると、戸惑いながらもそろ~っと湯船に入ってくる。
「タオルは取らないと駄目だろ?」
「えぇっ?!で、でも・・・・」
「こういうところではタオルをつけるのはマナー違反なんだぞ」
「そうなんですか?!」
なんて、本当はそんなことどうでもいいくせに。ただこう言えば美羽は従うしかないと分かった上での発言だ。案の定美羽は申し訳なさそうな顔をしながらおずおずとタオルを外し始めた。そのゆっくりとした動作にじらされた俺は、タオルが体から離れた瞬間それを横から取り上げてポイッと外に投げ出した。
「あっ!」