正しい小鳥の愛し方【愛を知る小鳥 特別番外編】
「綺麗ですねぇ」

「あぁ、そうだな」

美羽は目を細めて嬉しそうに眼前に広がる雄大な景色に見入っている。
俺は景色よりもそんな彼女に見とれてしまう。
ほんのり上気した肌が艶めかしい。妊娠してからまた幾分色気が増したような気がする。

「・・・潤さん、連れてきてくれて本当にありがとうございます。こうして赤ちゃんと一緒に旅行が出来るなんて幸せです。なんだか、自分が結婚して子どもまでいて旅行に来るなんて、今でも夢みたいです」

その時、手をあてているお腹が再びポコポコと動いたのがわかった。

「夢なんかじゃないぞって腹の子が怒ってるぞ?」

「あはは、本当ですね」

振り返って笑った彼女と至近距離で目が合う。
条件反射で彼女の頬が朱に染まるのを見届けると、どちらからともなく唇を寄せた。

「・・んっ・・・・じ、潤さんっ・・・・だ、ダメですっ!」

「ん?」

お腹の上に置いていた手が徐々に上に移動していくのを美羽は慌てて止める。

「こ、こんなところでダメですよっ・・・!」

真っ赤になりながら必死で俺の手を押さえている。
・・・・バカだなぁ。そういう行動が俺に火をつけるっていうのに。

「・・・わかった。そうだよな、ここじゃあ駄目だよな。ちゃんと布団に行かないとな?」

「え?」

ザバッとそのまま彼女を抱き上げて風呂から上がる俺を美羽は驚愕の顔で見ている。はは、頭の中で何が起こってるか処理しきれてないな。きっと時間差で騒ぎ出すに違いない。

「・・・・・えぇっ?!ちょっ、潤さん?それってどういう・・・」

ほらな。

「どういうことかはこれからじっくり教えてやるから、な?」

ニッコリ笑う俺の顔を信じられないとばかりに口をパクパクさせる彼女に満足すると、そのまま部屋へと戻っていった。
その夜、俺は宣言通りにゆっくりじっくりと彼女を愛していった。
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