正しい小鳥の愛し方【愛を知る小鳥 特別番外編】
「え・・・?」

「潤さん・・・」

きょとんとする男と、明らかにホッとした顔を見せた美羽。
俺は彼女の手をとって立ち上がらせると、そのまま肩を引き寄せて腕の中に抱き込んだ。

「あ、あの・・・?」

「うちの妻に何の用だ」

「えっ、妻?!」

俺の放った言葉に男は心底驚いている。

「え、香月さん結婚してたの?って、あ!」

男が向けた視線の先には左手に光る結婚指輪とふっくらしたお腹。座っているから気付かなかったのだろうか、男はその事実に驚いている様子だ。

「美羽、知り合いなのか?」

「あ、はい。高校の時の同級生で。ここで待ってたら声をかけられてびっくりしました」

「あ~、そっかそっか・・・・。俺何も気付かなくて・・・・ごめんね?香月さん。無理言って」

「あ、いえそんな・・・」

「久しぶりに会えて嬉しかったよ。またいつか機会があったら皆で集まろうな。じゃあご主人も、これで失礼します。香月、じゃあな!」

そう言うと男はそそくさとその場を去って行った。

「・・・・びっくりしました。まさかこんな所で同級生に会うなんて。正直私はあまり覚えてなかったんですけどね。社員旅行に来てたみたいです」

見えなくなった方向を見ながら美羽が苦笑いをこぼす。


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