正しい小鳥の愛し方【愛を知る小鳥 特別番外編】
「さっきあいつは何を言ってたんだ?」

「え?あぁ、なんだか、久しぶりに会えて嬉しいから今度集まらないかって。でも私はそこまで接点もなかったですし、親しい間柄でもないので断ってたんですけど、どうしてもって言われて・・・・。そこで潤さんが戻ってきてくれたので助かりました」

・・・・チッ。あの野郎・・・

「あいつ、お前のことが好きだったんだな」

「・・・・・・・・・・・え、えぇっ?!そんなことあるわけないですよ!」

俺の言葉が理解できないとばかりにブンブン手を振って否定する。

「間違いない。あいつはお前に気があったんだよ。たとえお前とほとんど接点がなかったんだとしてもな。それでこんなところで再会できたもんだから何としてもチャンスを掴みたかったんだろうよ」

「そんなバカな・・・・」

全く信じられないとばかりに呆れた顔をしている。

・・・・ったく、これだから無自覚は困る。
あの男の顔を見てればそんなことは一目瞭然だ。
ナンパにしてはどこか違和感を覚えると思っていたがそういうことだったとはな。
きっと学生の頃美羽のことが気になって気になって仕方がなかったのだろう。だが当の本人はそんなことには全く関心もなく、近寄りがたい雰囲気もあったのだろう。
そのままになっていた淡い恋心が予期せぬ再会で再燃した、おおかたそんなところだ。

結婚して妊娠までしていると分かったときのあの明らかな落胆振り。
そして俺の姿を見てさらに落ち込んでいた。
・・・・わかりやす過ぎだ。

そして相変わらず自分の魅力に気付かない小悪魔な俺の妻。
あいつ以外にも彼女に密かに想いを寄せていた男はいるに違いない。

「全く・・・天然の夫も楽じゃないな」

「え?何ですか?」

「なんでもない。ほら、いくぞ」

いまいち状況が理解できない彼女の手を引くと店の中へと入っていった。
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