正しい小鳥の愛し方【愛を知る小鳥 特別番外編】
「わぁ、これ可愛いですねっ!」
「・・・・」
美羽が差し出した物を見てどう反応すればいいのやら。
か、可愛い・・・?これが・・・・か?
富士山の形をした頭にぶさいくなオヤジの顔。おまけに首から下はまるで金太郎のような格好をしている。ふんどしには『富士男さん』と名前まで書いてある。こんなキャラクターを見て可愛い可愛いとはしゃいでいる己の妻をどう受け止めればいいのやら。
女性の着眼点はよくわからない・・・
ニッコニコ顔でこちらの様子を伺う彼女に引きつった笑顔で精一杯応える。
「お土産ってどういうのがいいんでしょうねぇ・・・」
美羽は秘書課の面々へのお土産を何にするかで散々迷っているようだった。
「無難に食べ物とかでいいんじゃないか?」
「そうですよね・・・でもあかねさんだけはちょっと別の物も探したいです。あ、あとは成田さんも。このお二人にはいつもお世話になってるので」
ぴくっ。
・・・・・何?
成田に別途お土産・・・・・だと?
「却下」
「えっ?」
「御堂はいいけど成田は却下だ」
美羽はどうして俺がそんな事をいいだすのかときょとんとしている。
「え、でも成田さんにもたくさんお世話になったし・・・・・」
「じゃあこれだ。これ以外は却下!」
そう言って俺はさきほど理解に苦しんだ不細工なマスコットキーホルダーを差し出した。
「あ!これ可愛いですよね~!娘さんもいらっしゃるし、喜んでくれると思います!」
美羽はたいそう嬉しそうにそれを手に取った。
・・・・・・俺が最大限の牽制を込めてこれを選んだなんてこと、彼女は一生気付きそうもない。・・・・やれやれだ。