正しい小鳥の愛し方【愛を知る小鳥　特別番外編】
俺は日々苛立ちと焦りを募らせていた。
近づきたいと思えば思うほど、彼女はそれ以上に離れていってしまう。

こんなことは生まれて初めてだった。
自分から距離を縮めたいなんて、一度たりとも思ったことはなかった。
上辺だけの適当な付き合いが一番楽だった俺が何故こんなに必死になる？
しかも相手は女性だ。

散々懲りてもう当分は関わりたくないと思っていた女性を必死で追いかけているのは誰だ？

そんな得体の知れない感情にイライラは募るばかりだった。



彼女との距離が一向に縮まらないまま時間だけが過ぎていく。
忙しい日々に追われ、どうしたらその距離を埋められるのか考える余裕すらない。

彼女は変わらず何かに怯えているように見えた。
だが、半ば強引に渡した私用の携帯が鳴ることは一度たりともなかった。



疲れもピークに来ていた時だった。
静寂を切り裂くような着信音が鳴り響いたのは。


それは俺と美羽の運命を変えるものとなった。



尋常じゃない様子の彼女を必死で探しに行くと、そこにはボロボロに怯えて震える彼女がいた。
声を上げて泣きたくなるほど胸が苦しくなった。

そこでようやく俺は気付いたんだ。
彼女に対するこの得体の知れない感情の正体を。



俺は彼女をいつの間にか愛していたのだということを＿＿＿＿




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