正しい小鳥の愛し方【愛を知る小鳥 特別番外編】
「こんな時でも落ち着いてるって美羽ちゃんらしいじゃないですか。何かあったときにはすぐに連絡が来ますよ。幸い今日は金曜ですし、もうすぐすれば帰れますから、あと少し頑張ってください」

「・・・・美羽といい御堂といい、俺を子どもか何かと思ってないか?」

女二人から宥められ、まるであやされている子どもの気分だ。
ぶすくれた顔でこぼすと、御堂は苦笑いした。

「すみません、そんなつもりはないんですけど・・・。でも、いつも仕事で完璧な専務がこんなに取り乱す姿は貴重なので私もいい経験をさせてもらいました」

「・・・成田も珍しいもの見る顔で俺を見てたし・・・・お前達のことだ、どうせ後で俺をネタに盛り上がるんだろう」

「えっ?そんなことは・・・・・ない・・・ですよ?」

急に慌てて視線をあちこちに彷徨わせながら誤魔化す御堂の姿に、今日一番の溜息が出た。







それから、俺は気持ちを入れ替えて午後の業務に取りかかった。

俺が仕事でこんな状態だと美羽が知ったら怒るに違いない。
彼女は一人で頑張っているというのに、俺がこんなんでは合わせる顔がない。
彼女が尊敬してくれている仕事だけはきっちりこなさなくては。


そうして集中して仕事に取り組んで数時間経ってからだった。
俺の胸ポケットに入れたスマホがブルブルと震えたのは。
時計の針はもうすぐ4時を指そうとしていた。

俺はすぐにスマホを取り出すと中身をチェックした。
そこには予想通りのことが書かれていた。


『陣痛の間隔が10分を切ったのでこれから病院に行きます。
何も問題はないので潤さんはいつも通りでいいですからね。
お仕事頑張ってください』

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