正しい小鳥の愛し方【愛を知る小鳥 特別番外編】
見るからに美羽の体力が限界まで落ちてきているのがわかる。
本当にこのままで大丈夫なんだろうか?
俺がそんな不安でいっぱいになっている時だった。


「藤枝さん、もう少し様子を見てだめだったら陣痛促進剤を使いましょう」

なかなか進まない美羽の様子を見に来た医師がそう言ったのは。


「え・・・・?」

その言葉にみるみる美羽の顔が不安の色に染まっていく。

「このまま開きが鈍いようであれば赤ちゃんにとってもよくありません。そのリスクを避けるためです」

「でも・・・・」

美羽が不安になるのも当然だ。
陣痛促進剤には副作用もあると何度も目にした。もちろんほとんどが無事に生まれるのだが、急激に進むお産で生じるトラブルがあるのも事実だ。

「ご主人、よろしいですか?もしご納得いただけるならこちらの書類に署名が必要です」

見せられたのは使用に関する承諾書だった。
署名が必要なほどリスクを伴う可能性があると思うと心が揺らぐ。
だが・・・・

ほとんど食事も水も口にせずほぼ丸2日起きっ放しで頑張っている美羽の姿を見る。
彼女だってこのまま自分の力で産みたいに決まってる。
それでも、お産が進まなければ確実に母子共に危険に晒される。
それならば・・・

俺は美羽の枕元まで行きその手を握った。
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