正しい小鳥の愛し方【愛を知る小鳥 特別番外編】
彼女はほとんど力を失った瞳で俺を見つめる。

「美羽。不安になる気持ちはよくわかる。このまま自力で産みたいという気持ちも痛いほどに。だが必ず危険だとわかっている状況でそれを君に勧めることはできない。俺は安全な可能性の高い方に委ねたい」

彼女の瞳が不安げに揺れる。
俺だってできることなら薬なんて使わせたくない。
それでも、彼女と子どもをみすみす危険に晒すようなことはできない。

美羽は目を閉じてふぅーっと息を吐くと、再び俺の目を見つめてゆっくり頷いた。

「・・・・わかりました。信じます。・・・・でも、最後の最後まで諦めませんよ」

「もちろんだ」

その手をギュッと握りしめると、俺は医師に承諾の意思を伝えた。


「わかりました。ではもう一度赤ん坊の心音を確認に来たときに判断します。様子がおかしいと思った場合には促進剤を使いますので」

「わかりました。お願いします」


そうして医師と看護師が出ていくと部屋には俺たちだけが残される。

「ごめんね、お母さんがなかなか上手にしてあげられなくて・・・」

お腹を撫でながら弱々しく零す姿が痛々しい。
こんなに頑張っているのにどうして謝る必要があるというのか。
俺はすぐに彼女の元へ行くとそのお腹を優しく摩った。

「謝る必要なんかない。美羽はこんなに頑張ってるんだから。それに子どもだって頑張ってる。最後まで諦めないんだろう?」
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